私の考える『自然農』について

今回は私の取り組んでいる『自然農』がどういったものなのかについて、私の考え方・解釈を中心にお伝えしていこうと思います。

自然農とは?

化学合成農薬や化学合成肥料だけでなく、いわゆる有機農法(有機農業)では使用する特定農薬や有機肥料も使わない、無農薬・無肥料で野菜を栽培するやり方です。

農薬や肥料を使わずに、野菜が植物本来の自分自身で生きて生長していく力を発揮できるように環境を整えることが重要になってきます。
(具体的になぜ農薬も肥料も使わずに野菜を育てられるのかについては別記事にて書きますが、簡単に説明するなら日本の野山には誰に世話をされるでもなく、草木は力強く活き活きと生えている。そこに答えもヒントもあります)

自然生態系を利用する農法だから略して『自然農』と呼んでいる

この『環境を整える』というのは、畑の中に小さな生態系を作ることだと考えています。
なので野菜以外の雑草も生やして、土の中にも地上にも虫や小動物たちに住んでもらう。
雑草は生やさず、虫も菌も殺す現代の一般的な慣行農業とは真逆にも思えるやり方です。
単位面積、限られた期間内での生産性を重視するならば、現代日本の慣行農業はとても効率的です。

けれど、農地は周囲、自然環境と繋がっていて、時間は過去から未来まで繋がっている。
そんな中で、果たして生産効率だけを追求したやり方がずっと続けていけるものなのか?

近年話題にもでるようになった『持続可能性』という観点で見たときに現代世界で主流になっている農業のやり方はあと何年続けていけるのだろうか?

自然農は非効率に見えて最も効率的?

自然農というやり方は、生産効率という点では一見とても悪いように見えます。
けれど、それは『人間の労働量』に対しての生産効率であって、『消費した資源の量』という点でみると、圧倒的に自然農の野菜は生産効率が高いんです。

たとえば、自然農究極の形の一つである『自然(じねん)生え』は、野菜が成熟して実らせたタネが地面に落ちて翌年また生えてきて実を付けるというもので、肥料や農薬はおろか水やりすらもしていません。

自然生えまでいかなくとも、採取しておいたタネを種まきの時期に地面に蒔いて放っておくだけでも、出来る野菜は結構あります。

私は一般的には肥料が必要で虫にも食われやすい白菜ですら、畑にタネを蒔いて、2回くらい草取りと間引きをするだけで育てます。蒔いたタネ全てが収穫できるほど育つわけではありませんが、その内の何割かは立派な白菜になります。
生長の早い葉物野菜やダイコンなんかはもっと楽で、秋なら種まきをして放っておくだけでも良く出来ます。何度も言いますが、農薬・肥料はもちろん、水やりもよほど日照りが続かなければ行いませんし、ビニールマルチや、不織布、防虫ネットも一切使いません。
有機農業ではよく行われる、手で虫を捕まえて殺すという作業もほとんどやりません。
それでも出来る野菜はけっこうあります(もちろん上手くいかない野菜もあります笑)

かーびー流【ちょこっと自然農】

このように、どれだけ手を抜いても野菜は育つのか?逆に最低限必要な手入れはなんなのか?
あるいは、やった方が費用対効果が良くなる手入れは?逆にやっても効果が薄い作業はなにか?

そういうのを楽しみながら研究しているのが私の【ちょこっと自然農】で、その様子を上手くいったことも、失敗したことも含めてYouTubeで公開しています。

よかったら見てみて下さい^^そしてよかったらチャンネル登録もお願いします!笑

自然農の魅力は?

最後に自然農の魅力、メリット、デメリットについて紹介して終わろうと思います。

魅力は利害ではなく『面白さ』や『やりがい』
まず魅力から。一言で言えば、面白い。
それに尽きるのですがもう少し具体的に書きます。
(…といっても、私の感覚、主観での面白さなので他の方にも共感して頂けるかはわかりません)

何が面白いかと言うと、常識とされていることを覆すような発見があった時はとても面白いしワクワクします。無農薬・無肥料でも野菜が育つという時点で既に常識的ではないんですけどね笑

例えば、上述した白菜の例がそうですが、そうはいってもいくつかのポイントやコツみたいなものがあって、それを自分で勉強したり実験しながら法則を見つけていくんです。再現性が無ければただのマグレなので、次の年もやってみて同じようにできるのか?むしろもっと良く出来ないのか?を考えて試行錯誤して上手く行ったときはとても面白いですし、失敗したときはやっぱりちょっと(たまに絶望的に)悲しくなる時もあります。

性格が少し捻くれてるというか、あまのじゃくなところがあるんでしょうね笑

他にも定説とされてる

『日本は雨が多いので土が酸性になりやすい。だからまず石灰を撒く』というようなことや、

『同じ野菜を育て続けると連作障害が起きる』ということを自分で試してみて、真実を追究・考察していくのが面白いんです。

そして、『やりがい』という点で、私の場合はもともと農業がやりたかったわけではなく、自然環境の大切さやおもしろさを伝えて、環境問題に興味関心を持つ人を増やしたいという気持ちから畑の仕事を始めたので、畑の体験イベントも2012年からやってきました。
そこで、直接伝えることが出来るのと何より参加して下さった方々が、私が手入れした畑が楽しくて野菜がとっても美味しいと言って下さることがなにより嬉しくやりがいを感じる事が出来ています。

今ではそれが体験イベントだけではなく、YouTubeを通して日本中どころか海外の方にまで見て頂けるようになりました。良い時代ですほんとうに^^

自然農のメリット

メリットは色々ありますが、他の農法と比べた時に明らかに言えるのが、
・持続可能性
・お金が掛らない

この2点です。
※『美味しい』『栄養がある』『安全性』などについては、自然農、有機、慣行などに関わらずしっかりと栽培されたものはいずれも安全で美味しく栄養もあると思いますし、逆に無農薬無肥料でもマズイ場合もあるし、有機でも味が悪くなったりそれこそ安全性の面で不安になるような場合もあるので『自然農ならではの』メリットには挙げませんでした。

持続可能というのは、自然農は外部からの持ち込みに頼らずにその場にある資源とその循環の中での栽培するので、海外の資源(石油、仮想水、その他化石資源など)を消費せずに続けていけます。これは環境的なメリットだけではなく、政治的にも外国に依存せずに食糧生産可能というのはとても大きなメリットになります。

持続可能性というと、個人にとっては大きすぎる話になるのでもっと身近なメリットとして、お金を掛けずにやることが出来ます。肥料や農薬だけでなく、消耗品でありビニールマルチや農業資材なども購入せずに行えますし、タネや苗も自家採種を行うことで自給することが出来ます。

また『お金が掛らない』というのは自給可能という意味でも持続可能性にもつながりますし、これは日本よりも海外の途上国で経済的な余裕が少ない地域で特に重要になってきます。

途上国の貧困問題で特に深刻となるのは食べるものがなくなってしまうことです。お金が無くても食べるものと飲み水さえあれば飢餓は避けることができます。(このことについてはまた機会があれば別記事に書きます)

自然農のデメリット

自然農のデメリットは一言で言えば
・現在の一般的な市場流通には不向き
というところです。『大量生産に不向き』というのもありますが、やってやれないことはないと思うのですが、問題は現在の市場流通している野菜の相場が、生産効率を追求することで実現した低価格という点です。

肥料に頼らない栽培だと、どうしても肥料を使うよりも栽培期間が長くなり、単収(単位面積当りの収穫量)も少なくなります。単収が減る分、価格は上がります。その点で需要と供給のバランスが現状では悪いんです。その点が改善されていけば、自然農の野菜が一般的な小売店にも並ぶようになるかもしれません。

実際、『自然栽培』の野菜は、こだわりのあるスーパーなどでは取り扱われるようになってきました。
その当りは栽培技術や流通面での改善が行われていけば十分に可能性があると思えますし、SDGsが世界的な動きとなりつつあるので有機農産物への補助金制度も作られるかもしれません。
その流れで『持続的でない方法』によって生産されるものの値段が上がっていく可能性もあります。
例えば原油価格や肥料・農薬価格の高騰や輸入制限、あるいは環境税のような税金の導入も考えられます。

いずれにせよ、自然農のデメリットが克服されて生産と流通が広がって行くのは望ましいことだと思います。

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『自然生え』について

今回の記事は↓こちらの動画の内容に沿って、補足を書きます。

《動画タイトル》【雑草化する野菜】自然生えのしやすさを解説〔自然農法〕2020年8月6日撮影

【動画の目次】

  1. 動画内容の説明、自然生えとは?
  2. 果菜類について
  3. 根菜類について
  4. 葉菜類について
  5. 畑を散策して実際に自然生えしている野菜を見てみる

【補足説明】

①今回の動画での『自然生え』とは

自然生え(じねんばえ)とは、人為的にタネ蒔きしたわけでは無く、野菜が実らせた果実や種子が自然に地に落ちて発芽して育つことを言います。

今回の動画では、『タネ蒔きをした翌年以降に発芽して育つか』をポイントにしましたが、キュウリなどは春植えしたものが初夏に実をつけてそれが落ちて真夏に発芽、秋頃にまた収穫できるまでに育つということもあります。

このケースを『シーズン内の自然生え』と言うことにしました。

『タネ蒔きをした翌年以降に発芽して育つか』と、ちょっとややこしい表現にしたのは果菜類と根菜類・葉菜類ではタネが出来るタイミングが異なるからです。

一般的な果菜類(トマト、ナス、キュウリなど)はタネを春先に蒔いて夏に実が出来て秋にタネが地に落ちて冬を越して翌年の春に発芽しますが、人参や大根などの根菜類と小松菜やホウレンソウなどの葉菜は一度冬の寒さを経験しないと花芽を付けません。なので基本的には年越し後にタネが出来てそれが落ちてまた春~秋の間に発芽します。

例外として、2~3月の寒い時期にタネを蒔いて育てると年越し前に蒔いた葉菜類と同じタイミングで花を咲かせたりします。

②自然生えしやすいポイント

今回の動画では自然生えしやすい野菜としにくい野菜を解説していきました。編集している時に気づいたのが、次に挙げるポイントで総合的に『自然生えしやすい』かそうでないかが決まると思います。

  1. 着果数(タネの数)が多い
  2. 発芽後の生長力が強いか早い
  3. 虫に食われにくい
  4. 生育に適した時期まで休眠できる
  5. 休眠が解ける条件が厳しくない(発芽しやすい)

この条件を満たすものほど、自然生えしやすいと思います。

たとえば、葉菜類の特にアブラナ科の野菜(小松菜をイメージしてみます)はタネも多いし、発芽もし易くその後の生長も早いのですが、時期によっては虫に非常に食われやすくなります。

上記条件の1,2、5は満たしますが、発芽しやすいだけに春~夏に種が落ちたらすぐに発芽します。5~8月は雑草と虫の勢いが強い為それらに負けやすく上手く育ちにくいんです。

ただし、同じアブラナ科の葉野菜でも、辛みのある高菜やルッコラなどは虫に食われにくく春~夏に発芽してもそのまま生き残って育ったりします。

これはルッコラのタネが入っているサヤの部分。他のアブラナ科と違って真ん中に仕切り板がある。

果菜類でいうと、トマトは上記条件を全て満たします。それに対してピーマンは2,3,5が欠けます。生長が遅く、新芽はナメクジに食べられやすく、発芽するために他のナス科野菜よりも高い温度が必要になります。ナスもピーマンほどではありませんが同様の理由であまり自然生えしてきません。

自然生えしてきた大玉トマト(ポンテローザ)
タネ蒔きして育てたものよりも元気にきれいに育ってました。

カボチャやキュウリなどのウリ科はタネ自体は発芽しやすいのですが、タネが果実で守られている間は発芽しません。(例外として栄養状態が悪いと果実内発芽といって果実内で発芽してしまう場合もあります)

年を越した5月時点でもこの瑞々しさのバターナッツカボチャ。
常温保存でも1年近く果実がしっかりとしてタネを保存していた。

夏に実が出来ても実が熟して崩れるまでは時間が掛るのでその間に冬になれば発芽せずに年を越えて翌年の暖かくなった頃に発芽します。

そうやって『発芽のしやすさ』と『しっかり休眠する』という相反する要素を果実を使うことで実現しています。

大根の実もそうですね。尖ったひょうたんのような形の実をたくさんつけてそのカラは他のアブラナ科のものより硬く割れにくいんです。

これらのポイントを意識して野菜の発芽から種を付けるまでを観察してみると、野菜の自然生えへの理解が深まると思います。